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狂言には、通常皆様が想像される喜劇の狂言(本狂言)と、
能の前半と後半を繋ぐ役目の間(間)狂言というものがあります。

間狂言は、能の間を繋ぐというだけあって、
前半の粗筋を話したり、主人公についての謂れを語ったりします。
現実的な役割としては、
能のシテ(主人公)が、衣装を着替える時間を稼いでおります。

で、この間狂言、
通常は1人で、延々と10分~15分程度語ります。
普通の現代劇では、なかなか1人で10分超のセリフをもらえるなんて事、そうそうないですよね。
しかし間狂言は、その時間を1人でもたせるのが役目です。
舞台上に助けてくれる人は誰もいません。だって狂言方は1人だけなわけですから。
なので、どんな事があっても絶対にセリフを覚えておかなくてはならない。

そうなってくると当然、稽古も計画的に行う必要があります。
こういうガチの覚え物は、人によってやり方がいろいろなんですが、
今回は私のやり方をご紹介。
■前段階
・謡曲大観と、故3世千作手書きのノート、木村正雄氏製作のワープロ台本の3種類をコピーして読み込む
→謡曲大観とは能の台本です。まずその能がどんな曲なのか、大枠を理解するために最初から最後まで読みます。
→故3世千作手書きのノートは、基本的な千五郎家のベースとなっています。
→木村正雄氏製作のワープロ台本については、私は故3世千作手書きのノートの補完的な使い方をしております。

■2週間前
・覚えるために毎日声を出して稽古する
→これだけの長いセリフは、やはり声に出して覚えるより他ありません。よって私は、ひたすら毎日声に出して稽古をします。そしてこの期間に、起こしの位置も検討します。(起こしの説明はまた別の機会に)

■1週間前
・演出を考える
→セリフがすべて頭に入ったら、次は全体の構成を考えます。演出プランですね。もちろん能の間なので、前半の流れを受けて後半に渡すという流れの中に位置するので、当日にならないとわからない空気感のような部分もありますが、基本的な演出プランは当然事前に考えます。このシークエンスでは、自分のセリフを録音し、それを聞いてよりよくしていきます。これも本番まで毎日です。

もちろんこの間に、適宜必要に応じて師匠に稽古をつけていただくというフローが入ります。

という事で、本番までの2週間は、強化期間!(と勝手に名付けてますw)という事で、毎日声を出して稽古をするという事ですね。
私は引きこもりなので、狂言の仕事がない休みの日など誰とも喋らず、次の日コンビニの店員さんなどに話しかけられてもまともに声が出なくなったりしますが(笑)、強化期間中は毎日昂声を出しているので、声帯が開いて非常に快調ですw